レポート「貸借対照表」では、会社が現在どのような資産(財産)をもっているか、その資産をどうやって得たのか(資本/負債)を分野別にまとめている。
また、資産と資本を照らし合わせた結果利益が蓄積されているか損失が蓄積されているかを「剰余金」の項目で確認することが出来る。
おおまかには前作の貸借対照表と大きな変更はないが、より項目が細分化されている。
新たな点/変更としては以下の点がある。
前作では今年度及び昨年度の対照表が参照可能であったが、今作ではさらに過去の年度の対照表も参照できるようになっている。
貸借対照表は以下の要素で構成されている。
資 産 の 部 | 資 本 の 部 | ||||
総 資 産 | 会社が持っている財産を金額に換算して総合計したもの | 総 資 本 | 事業の元手になっている資金の入手元を合計したもの | ||
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流動資産 | 絶えず売買などで所持額が変動するもの | 流動負債 | 1年以内に支払いが行われる予定の負債 | ||
固定資産 | 数年~10年以上の長い期間使用し続ける予定の資産 | 固定負債 | 1年以上の長期に渡って支払いを行う予定の負債 | ||
繰延資産 | 既に支払いを済ませている投資のうち費用計上がまだ行われていないもの | 純資本 | 会社が借用ではなく自力で所持している正味の財産 |
貸借対照表においては、総資産と総資本は必ず一致している。
損益計算書の収益・費用とは異なり、貸借対照表の資産・負債・資本は減ることもあり、決算時にリセットされることなく次年度に引き継がれていく。
会社は資金(お金)以外にも色々な形で「資産(財産)」を持ち、それを運用することで利益を得ている。
資産の項目では会社が持っている「資産」が種類別にまとめられている。
流動資産とは会社の資産のうちすぐに現金化できるものを指す。有価証券(株券)や商品(資材・資源)の他、現金自身も流動資産に含まれる。
流動資産は日々の商取引で所持量が常に変動する事になる。現金は常に把握が可能だが、株券で資産運用している場合はこまめに所持額の推移をチェックしておこう。
流動資産は固定資産のように「所持すること」での税金は発生しない。
会社が現在所持している現金資金の事であり、上画面に常に表示される「資金」がこれにあたる。
「現金預金」となっているが特段預入/引出を行う必要もなくすぐに使用できるので現金をそのまま所持しているのに近い。
今作では預金による利子は発生しないため、資産を現金で所持するだけでは利益は全く発生しないようになった。
もし資金がマイナスのままで丸一日が経過すると、会社が倒産してしまう(ゲームオーバー)ので注意。
特に毎年6月1日の納税、銀行融資の返済日などに現金を大量に支払う必要が生じるので、その前に株券売却などで現金を用意しておくこと。
納税日1週間前の時点で資金が足りないと、経理部長から「資金が足りません」と警告が発せられる。
会社が所持している有価証券の評価額(所持数×価格)をまとめたもの。株券が相当する。
価格は購入時のものではなく現在の価格(時価)での評価となるので、市場での株価の変動によって日々変動する。
売却すると購入時との価格差によって、損益計算書に「有価証券売却益(営業外収益)」や「有価証券売却損(営業外費用)」が発生する。
会社が巨大になり、所持資金が数千億~1兆円オーバーとなるようなら株式購入による資産運用を検討してもよいだろう(資産を現金のまま持っていても利益にならないし、利益が見込める土地や子会社にも限りがある)。
会社が販売目的で一時的に所持している資産で、資材などの資源などが該当する。
資源の生産地や隣街などから資源を購入した際に、個数×購入価格(+輸送コスト)で資産計上される(同時に損益計算書で「資源関連費用」が費用計上される)。
資源の消費地や隣街などに資源を売却すると、個数×購入価格(個数×貯蔵資源取得額平均?)減少する(同時に販売額の分現金資金が増加し、損益計算書で「資源関連売上」が売上計上される)。
流動資産ではあるが、貯蔵状態によってはすぐに現金化するのは難しい(貯蔵庫の撤去による即時売却は可能だが、売却額はかなり低くなる)ので、借金返済などの当てにするのは止めた方がいい。
生産地近くに貯蔵場があると満杯になるまで自動的に購入されることになるので、運搬の方法もないのに生産地の近くに貯蔵場を大量に用意すると資源購入で現金を消費し経営を圧迫しかねないので注意する事。
固定資産とは会社の資産のうち長期に保持使用して利益を生み出すものを指す。
所持していると毎年固定資産税及び都市計画税を支払わなくてはならない。固定資産税は税率1.4%、都市計画税は税率0.3%となる(年代・シナリオによらず固定?)。
また、固定資産の取得(購入や新規建築)時に別途税金がかかる(「租税公課」として費用計上される)。
土地を除く固定資産は毎年老朽化により資産価値が減っていくので、価値減少分を単純計算で見積もって費用計上するようになっている(減価償却)。
固定資産のうち子会社(建物)、土地、車両運搬具は売却する事が出来る。その結果取得時より高い価格で売れた場合には「固定資産売却益(特別利益)」低い価格で売却した時は「固定資産売却損(特別損失)」が損益計算書で計上される。
固定資産のうち建物や構築物をを処分し用地に戻した場合は「固定資産処分損」が損益計算書に計上される。
駅舎(及び停留所や電停)や子会社など、自社所有の土地に建てられた建築物の建物価格をまとめたもの。
子会社の購入(及び買収)時は自社で建築したときの価格より高くなる事が多いので注意。
耐用年数を40年とみなし、最大で元の価格の95%までを減価償却する。
自社所有の土地に作られた建物以外の構築物の取得価格をまとめたもの。
線路や資源貯蔵庫の価格の他、駅舎(及び停留所や電停)の必要価格の一部も構築物で計上される。
耐用年数を20年とみなし、最大で元の価格の95%までを減価償却する。
列車やバス、路面電車などの購入価格をまとめたもの。
耐用年数を10年とみなし、最大で元の価格の95%までを減価償却する。
会社が保有している土地の購入価格をまとめたもの。
何も建築されていない用地のほか、自社所有の子会社や駅舎などが建てられている土地も含まれる。
土地は老朽化しないため減価償却は行われない。
土地の価格は各区画を記録している訳ではなく、土地売却時の原価は今まで取得した土地の平均価格(土地資産総額(この項目)÷区画数)で計算を行う。
過去に支払った費用のうち、「長期にわたって利益をもたらすと考えられる事業費」が計上されている。
「現金資金」を一旦「繰越資産」に変更したとみなし、複数年に渡って「繰延資産償却費」として費用計上することで繰延資産を毎年減らしていき清算を行う。*1
わかりやすく言えば、実際は一括払いであるが、帳簿上は分割払いにしているということ。実際は既に支払った資金であるため手元にはなく換金価値もないことに注意する事。
その年の決算が大赤字になってしまうのを防ぐ、剰余金が急激に減ってしまうのを防ぐなどの効果がある。ただし繰延資産のせいで数年連続で赤字になってしまう恐れもある。
このゲームでは特定の費用が必ず繰延資産として計上されるようになっているが、現実の世界では必ず計上しなければならないわけではない。
わかりにくい概念であるが、簿記ではこのように実際のお金のやりとりとは異なる処理がなされることが多々ある。
研究開発にかけた費用をまとめたもの。
プラン「各種車両開発」「地下鉄道技術獲得/地下道路技術獲得」「技術供与」「地下資源調査」「新幹線誘致」が該当する。
上記のプランに使用した資金はまずこの項目に資産計上され、5年間に分割して20%ずつが費用(繰延資産償却費)計上されることになる。
つまり、上記の事業プランは費用負担が複数年に分割されているので損益計算において利益を圧迫しにくくなっている。しかし、繰延資産償却費が高額すぎると現在の収益でカバーしきれずに5年連続で赤字になってしまう危険性もある(そのためわざと費用を増やすことで法人税を節税したい場合には効果が薄い事に注意すること)。
会社が現在持っている資産(財産)はどうやって得られたのか、その元手の出所をまとめている。
会社に100億円の現金があったとして、それは会社が利益を出したことによって得られたのか、会社設立時に出資されたものなのか、銀行に借りた金でいずれ返済しなければならないのかによって、その意味は全く違うものになってしまう。
資本の項目ではこのような資産の元手の他、支払いを行わねばならず自由に動かせない資金(納税予定の税金など)も資本の部として表示し、「会社がどれだけ利益を蓄えているか」をまとめ上げている。
一般的には、資本金などのように会社の元手となるお金を資本、借入金などのように支払いを行わねばならないものを負債と呼び、資産=負債+資本となる。
流動負債には「当期1年間に必ず支払うことが予定されている短期の負債」が計上されている。
毎年それぞれの項目の期日が来れば支払いが行われ、資金が減少し負債が清算される。
この負債の支払いを行うために、同程度以上の現金資金(もしくは株券の形でもよい)は出来るだけ保持していたい。
この負債計上は年度初頭(4月1日)に行われるため、4月からしばらくの間は負債が激増し、剰余金が圧縮されてしまう。
融資や新株発行(株式公開及び公募増資)の妨げとなるので、この時期はその手の行動は控えた方が賢明。
納税されていない今年の法人税が計上される(事業税及び住民税も含まれるが一つの項目にまとめられている)。
納税額は「会社の前年度の『税引前当期純利益』の約半額」が計上される。前年度純利益が出ていない場合は80万円のみの負担となる。
毎年3月31日終了時に納税額が決定し、翌年度の6月1日9:00に支払いが行われるまでは負債としてこの項目に勘定される。
会社の収益状況によっては毎年数億~数百億オーバーの巨額になる可能性があり、負担は大きい。
納税されていない今年の固定資産税が計上される(都市計画税も含まれるが一つの項目にまとめられている)。
納税額は「会社の前年度の『固定資産』所持額の1.7%(固定資産税1.4%+都市計画税0.3%)」が計上される。
毎年3月31日終了時に納税額が決定し、翌年度の6月1日9:00に支払いが行われるまでは負債としてこの項目に勘定される。
法人税とは異なり、この税金は会社が前年度利益を出していなくても必ず払う必要がある事に注意。
今年度に社員に支払う予定の定期ボーナスが計上されている。
年2回(7月25日、12月25日)にボーナス支払いで清算される。それまではこの項目で負債として計上されている。
事業プランで行う「特別ボーナス」は無関係。
支払期限が1年を越える長期の負債が計上される。
すぐに支払う必要はないが、いずれ必ず支払いを行わなくてはならないという点で気をつけなければならない項目。
期限内に資産(流動資産に限らず)を増やし、支払いを行ってもなお余る程度は利益を蓄積しないとならない。特に銀行融資(長期借入金)を受ける時には肝に銘じよう。
銀行から融資を受けた時にその借入額が計上される。
今作では融資開始時に負債計上されるのは元本(借入金)のみで利子分は負債計上されなくなっている。そのため、融資を受けても剰余金があまり減少しないようになった(一応、融資手数料[借入額の0.2%]の分だけは減少している)。
融資の期限が来れば利子を含め全額を返済しなければならない。返済すると負債は清算され、利子相当額は損益計算書に「支払利息(営業外費用)」として費用計上される。この時に利子分の剰余金が減ることになる。
融資開始から日が経ち、支払い期限が1年を切ったものが出てきても固定負債で計上されたまま(流動負債で別表示とはならない)ので注意。期限が近くなったら銀行メニューで必ず確認をしておくこと。
また、この項目で確認できる借入金はあくまで元本のみなので、実際に返済する時には利子分が上乗せされ返済額が大きくなっているので注意すること。その意味でも「銀行」メニューできちんと返済予定額を確認しておくことが望ましい。
会社の従業員の退職金相当額が将来支払われる予定のある負債として計上される。
毎年損益計算書「退職給付引当金繰入(販売費及び一般管理費)」で計上された額が累計されていき、実際に退職者がでた時に相応額が減少する。
全ての社員が同時に退職することは起こり得ない(?)ため、全額が必ず支払われることはないと思われるが、社員が多くなると地味に増加し剰余金を圧迫することになるかも?
会社の総資本(=総資産)から負債を差し引いた、自社の所有する純粋な財産の額を表す。自己資本ととほぼ同義である。
負債(他人資本)とは違い返済を行う必要はないが、会社の出した利益の一部を株主に配当として還元する必要がある。
会社設立(及びに増資)時に株主から集められた出資金の合計で、会社が事業を行うための純粋な元手といえる。
設立時及び株式公開実行直後は発行済株数×500円が資本金となる(発行株数はシナリオや難易度によって異なる)。
株式公開後、さらに公募増資を行うと「調達額(新規発行株数×公募価格)」分資本金が増加することになる。
「発行済株数×株式時価」であらわされている「株式時価総額」と似ているが、両者は別の指標である事に注意。
市場での評価の目安である株式時価総額が資本金よりも高い額になっているなら、公募増資に応じてくれる株主は多くなってくるだろう。総資産から、負債と剰余金を引くと求められる。
会社がこれまでに得た利益の蓄積を表す。
会社の総資産(=総資本)から負債総額と資本金を差し引いた額が計上される。
逆に言えば「総資産と資本合計(負債総額+資本金)の差額」であり、会社が資本金などの元手をどれだけ増やしているかという利益の蓄積を表した項目といえる。
資本合計より現在所持している資産総額が少ないときは剰余金はマイナス(欠損金)となる。
経営開始直後に大規模な投資を行うなどで短期的に欠損状態になるのは仕方がないが、長期的には必ずプラスに上向くように心がけよう。
毎年7月1日に株主に支払う配当金の総額はこの剰余金が上限となる。そのため配当時に剰余金がマイナスだと無配当が確定してしまう。
特に、株式公開後は剰余金に気をつけないと株価下落の引き金になりかねない。
「新都心構想」では剰余金が出る人と出ない人で分かれる。気をつけた方が良い。